ノー霊感!寺生まれのTさんの徒然日記

お金がない!でも進学したい!そんな寺生まれの学生がお金目当てで始めたブログです。

【読書レビュー】僕と熱量と『恩讐の彼方に』

なんまんだぶ、なんまんだぶ。

 

こんにちは!

寺生まれのTさんです。

霊感はありません。

 

今回は、前回の記事

 

temple-t3.hateblo.jp

 

で紹介した『PSYCHO-PASS Sinners of System Case. 3 恩讐の彼方に__』のサブタイトルにもなっている、菊池寛・作の恩讐の彼方にを紹介し、読書感想文のようなものを書いていきたいと思います!

 

恩讐の彼方に』を読むには

恩讐の彼方に』は、もちろんAmazon等で紙の本として入手できますが、

 

藤十郎の恋・恩讐の彼方に (新潮文庫)

藤十郎の恋・恩讐の彼方に (新潮文庫)

 

 KindleApple Booksでダウンロードし、無料で読むこともできちゃいます!

 

恩讐の彼方に

恩讐の彼方に

 

 

今回、僕はApple Booksでダウンロードして読みました!

 

PSYCHO-PASS』TVアニメ1期で、敵役の槙島聖護が「紙の本を読みなよ、電子書籍は味気ない」と言ってたのを思い出します。

劇場版や今回の映画の狡噛ではないですが、やはり僕の心の中にも槙島がいるようです…怖い怖い

 

「市九郎」から「了海」へ

この物語の主人公である、市九郎は、主人の妾と密通したことをきっかけに、主人を殺し、その妾と逃亡することになります。

その後、盗賊まがいの暮らしを二人で送るようになりますが、市九郎は次第に罪悪感の中で迷うことになります。

 

そんな中、ある夫婦を殺めて財物を持ち帰った際に妾の浅ましさに気がついた市九郎は、彼女の元を離れ、最終的に出家することとなりました。

この時、市九郎は「了海」という法名をもらいます。

 

旅の中で見つけた、生涯をかけて果たしたい誓願

了海は全国を旅することになりますが、途中で多くのものが命を落とす難所にたどり着きます。

そこで、了海は、「この山を突き通すことで、多くの人を救おう」という大きな誓願を立て、周囲の誰もが相手にしない中でもただ独り、山に洞穴を作り、突き通すため掘削事業を始めます。

了海が掘削事業に注ぐその熱量は、もはや常人が持ちうるそれをはるかに上回っていました。

彼は、必要最低限の飲食のほかは、持ちうる時間の全てを掘削に捧げました。

 

困難の中現れる、市九郎を仇とする青年・実之助

了海が昼夜を問わず、ひたすら穴を掘り続ける中、周囲の人々は少しずつ心を動かされ、石工を派遣するようになります。

しかし、進捗が思わしくないと気づくと、石工の派遣をやめるようになります。

こうしたことが何度か続く中、了海・市九郎の主人の息子・実之助が、父の仇を求めて現れます。

 

実之助は復讐を求めるが…

長い間求め続け、やっと見つけた父の仇。

実之助は了海を殺そうとします。

掘削事業に全てを捧げる中、人の形相を失ったかのような了海は、復讐を受け入れようとしますが、作業を共に行なっていた石工たちがそれを止めます。

 

石工たちは、「せめて山を突き通すまでは待ってほしい」と実之助に頼み込み、無下に断れなくなった実之助はそれを受け入れます。

 

そして、実之助は、早く敵討ちを成し遂げるために、掘削作業を手伝うようになりました。

 

それから1年6ヶ月。

 

ついに、了海と実之助は山を貫き通すことに成功しました。

 

了海は、実之助に復讐を果たすよう伝えますが、もはや実之助は了海を殺めようとは思えず、了海にすがりつきただ泣くのでした。

 

掘削に臨む了海の、狂気とも取れる熱量

一通り読み、僕が特に感銘を受けたのは、了海が掘削事業にかけた熱量とその描写です。

初めは、自らが起こしてきた殺人や強盗といった罪を少しでも償いたいという思いの中、山を掘ることで人々を救おうと行動を起こした了海ですが、掘削事業の中でもはやそのような思いすらなくなっていきます。

 

おそらく、現代の尺度で見れば狂気の領域に突入しているでしょう。

 

しかし、僕にはそれをただ狂っていると切り捨てて読むことはできませんでした。

 

そこに、感動しました。

自らのあらゆるものを、感情さえも振り捨てて、ひたすら取り組む姿勢。

そのようなものを、果たして僕は持ったことがあるだろうかと、自省せざるを得ませんでした。

 

もちろん、あらゆるものを振り捨てて捧げるものがあっては、おそらく「健全な社会生活」を送ることはできなくなりますので、「普通のモチベーションで生きる」ことは合理的なことであると思います。

 

しかし、了海の境地に達しないまでも、一生をかけて情熱を注げるものを見つけたい。打算や賞賛を度外視して、取り組めるものを見つけたい。

 

そんな思いに駆られて、読み進めていきました。

 

実之助は復讐を捨てて、これから如何に生きるのか

もう一人の主人公・実之助は、物語の最後に、それまでの人生をかけて臨んだ復讐の道を捨てます。

誓願を果たした了海とは、一種対照的な結末を迎えているわけです。

 

しかし、この後実之助はどう生きていくのでしょうか。

了海の慈悲に触れ、それまでの道を捨てることは、彼の人生にとって大きな転換点となるのは間違いありません。

それまでの人生を否定したようなものです。

 

了海にしがみつき泣くところでエンディングを迎えますが、彼はその後どうするのか。

江戸に戻るのか。

了海と共に生きるのか。

新たな道を見いだすのか。

 

それまで支えとなっていたものを手放してしまった実之助のことを思うと、心が少し苦しくなります。

そして、復讐を捨てた彼のその後に想いを馳せざるを得ませんでした。

 

終わりに

PSYCHO-PASS』をきっかけにこの本を読んでみましたが、読後感は独特の深みと味わいのある作品でした。

そして、映画でキーワードになった「復讐」というテーマにもマッチしており、復讐を果たした狡噛と、復讐を果たしたいテンジンの対照というものが一層浮き彫りになった感があります。

 

PSYCHO-PASS SS Case. 3』をこれから観る方は、この小説を読んでから観ると味わいがさらに深まるのではないでしょうか。

 

また、『PSYCHO-PASS』には興味がない方にも強くお勧めできる作品ですので、未読の方はぜひお一読いただければと思います。

 

それでは、次回の記事もお楽しみに!👋

 

なんまんだぶ、なんまんだぶ。